そういうわけでボクは、ゴムチューブを体中に巻いて、腰回しをするという健康法を一生懸命やっていたのですが、腰が少し軽くなる一方で、右ヒザが逆に痛み出すという事態になってしまいました。
また腰チューブとたすきチューブをすると、自分の身体が腰椎のところで「く」の字のように曲がっていて、しかも下半身に対して上体が左にねじれているのがハッキリするのですが、それがどうも腰回しだけでは直らないような感じでした。
また別の問題として、ゴムチューブを服の下に巻いて過ごしていると、蒸れるし擦れるし挟むし攣れるし、かゆくてかゆくて...なんかもう、ワケがわからなくなってしまいました。
これではいけない...とボクは決心し、本に載っていた、この療法を指導しているとある接骨院を尋ねることにしました。
そこはボクのアパートから、バスで40分以上離れたところの小さな接骨院でした。
「いやあ、それにしても年季の入ったゴムチューブやね」
小さな接骨院の太めの接骨師は、ボクから事情を聞いた後、開口一番そう言いました。
言われてみれば、ボクの腰に巻いていたチューブは、確かにもうクタクタ。
色も変色しているし、あちこちにひび割れもできていました。
半年近く、毎日のように腰に巻いていたのですから、それも当然です。
「入会金5千円、治療一回3千円、入会すると新しいゴムチューブと本部から月一回会報が届きます」
当時は、整体治療で保険などききませんが、まあ妥当な金額です。
ボクが入会申込書を書き、八千円を払うと、その整体師は引き出しをあけて、ポイッとそのお金を放り込んで言いました。
「じゃあ、腰にちょっと電気を通してから、奥で治療するから」
ボクはベッドにうつ伏せに寝かされ、腰に何かヌルヌルした液体を塗られ、腰椎の両側に黒い電極を6個取り付けられました。
「痛いと思ったところで、言ってください」
助手の女の人が、そう言って、怪しげな機械のスイッチを入れました。
カチャン・カチャン・カチャン...と、黒いダイヤルを回すたびに、腰の電極の電気が強くなっていきます。
「痛い」
ピリッとした痛みを感じてボクがそう言うと、その助手の人は
「では2段階下げます。普通ですね」
と言いました。
何が普通なんだか、ボクにはサッパリわかりませんでしたが、そうしてジワジワ腰に怪しい電気を5分ほど流した後、隣の奥の部屋に案内されました。
そうして接骨院の治療室の引き戸を開けると、そこはただの四畳半で、うらぶれたおばあさんが、のんきにお茶漬けを食べていました。
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