ボツリヌス菌 赤ん坊に蜂蜜はダメ
更新日:2018/07/02
ボツリヌス菌は、湖沼や土の中に普通に居る細菌だ。
井戸水で増殖している場合もあり、ボツリヌス菌の侵入を防ぐことは難しい。
また蜂蜜などにも、芽胞の形で入っていたりする。
なので1歳未満の乳幼児に、蜂蜜を食べさせてはいけない。
蜂蜜に混ざっている芽胞は、体内で増殖して中毒症状を引き起こすのだ。
ボツリヌス菌は腸内で増殖するので、腸内細菌叢が未成熟な乳幼児ほど、ボツリヌス菌にやられやすい。
ボツリヌス菌は、自然界最強の毒素を作る菌で、ボツリヌス菌の毒素は僅か1グラムで約100万人分を死に至らせるという。
ただしボツリヌス菌の毒素(ボツリヌストキシン)は熱に弱く、数分加熱すると毒性がかなり弱まる。
そのため実際にボツリヌス菌による中毒が起きやすいのは、ハムやソーセージ、ベーコンなどの肉加工食品ではない。
ハムやソーセージ、ベーコンなどは、亜硝酸塩を添加してボツリヌス菌の増殖を抑えているし、加熱して食べることも多いので、食中毒は滅多に起こさない。
一方、ボツリヌス菌中毒を起こすのは、意外にも漬け物や熟れ寿司(なれずし)などの食品だ。
過去には、熊本名産の辛子蓮根で中毒が起こったこともある。
海外では、タイで作られたタケノコ缶詰めでボツリヌス症が大発生する事件が起こっている。
漬け物や熟れ寿司は過熱して食べないため、ボツリヌス毒素が発生しても、毒性が消せずに中毒が起こったらしい。
ボツリヌス菌は、猛毒を作り出す細菌だが、自然界にはどこにでも居る細菌だ。
そのため、ボツリヌス菌による中毒を防ぐには、細心の注意が必要になる。
ソーセージに亜硝酸塩の添加を義務づけているのも、ボツリヌス菌の増殖を抑えるためで、必要最小限の措置だと言える。
ただし亜硝酸塩(亜硝酸Na、亜硝酸ナトリウム)は、アミン類と結合してニトロソアミンという発がん物質を作る。
ニトロソアミンは、多くの実験動物への投与で発がん性が認められており、人間では、胃ガンに関係があると考えられている。
胃ガンは日本や東アジアで特に多いガンなのだが、その原因として、塩漬け魚や野菜の漬け物が疑われている。
ニトロソアミンは、硝酸の濃度が高ければ高いほどたくさんできるため、硝酸をたくさん含む塩漬け魚や野菜の漬け物がどうも怪しいらしい。
最後に、ボツリヌス菌の毒素は、治療薬としても使われている。
美容分野でシワ取り剤として使われている「ボトックス注射」は、顔面麻痺やケイレン、脇汗の治療などにも使われる。