オルトレキシア
更新日:2018/07/01
オルトレキシア(orthorexia)という言葉を、よく耳にするようになった。
オルトレキシアというのは、簡単に言うと、「偏食によって身体を壊す状態」のことだ。
これは食べたくない、アレは食べたくないと言う風に、食べる選択肢をどんどん狭めていって、最後には最低限必要な栄養素も摂れなくなって、身体を壊す。
こう書くと、子供が好き嫌いして、お菓子ばかり食べて栄養失調になるような感じだけれど、少し違う。
というのもオルトレキシアの人は、「正しい食事」を求めるあまり、食べれる食品の選択肢を狭めるのだ。
恐怖症や、強迫性パーソナリティ障害の一種で、「身体に悪い」と聞くと「食べてはいけない」という強迫観念を持つらしい。
たとえば食品添加物が身体に悪いと聞けば、添加物が入っていない食品しか食べられなくなる。
ハムやソーセージなど、肉の加工品は、たいてい亜硝酸塩などの添加物が入っているので、拒否する。
また発がん性があると言われると、それも全く食べることができなくなる。
発がん性が疑われている物質や食品は山ほどあるので、本当に食べる物がなくなってしまう。
コーヒー、塩漬け魚、野菜の漬け物なども、発がん性が疑われているので、無理ってことになる。
食べ物を善悪でハッキリ分けているので、少しくらいならと言うことができないのだ。
また肉や魚を食べるのは、動物の生命を奪う行為だからと言って、罪悪感から肉や魚を嫌う人もいる。
ベジタリアン(菜食主義者)と呼ばれる人々で、肉や魚の加工品はもちろん、ゼラチンや鰹節、エキスのようなモノも食べない。
基本的に食べるのは穀物、野菜、フルーツ、海藻といった植物性食品と、卵や乳製品、蜂蜜だけだ。
さらには、卵や乳製品、蜂蜜まで食べないヴィーガン(Vegan)と呼ばれるベジタリアンも居る。
ここまで進むと、オルトレキシアの人は、本当に食べる物がなくなってしまう。
卵や乳製品、ハムやソーセージ、コーヒー、塩漬け魚、漬け物などは、伝統食であって、その国の食生活にはなくてはならないものである。
その国や地域に根付いた食生活は、歴史による「テスト」をくぐり抜けてきているので、合理性がある。
何十年も何百年も、その地で人々が生き抜いてきた実績がある食文化だから、ギリギリ栄養バランスが良い。
ところがこれらの伝統食を拒否し出すと、どうしても栄養バランスが偏ってしまう。
本来、肉や魚、魚介類や卵を食べて生き延びてきた人類が、それを拒否するわけだから、栄養不足や低栄養は免れない。
ところがオルトレキシアの人は、倫理的な観点から、肉や魚、卵や乳製品まで拒否してしまうため、偏食になって栄養不足・低栄養になり、髪が抜けたり、肌が荒れたり、骨が弱くなったりということになる。