みずみずしく、キレイな野菜ほど、硝酸態窒素が多い
更新日:2018/07/07
日本で売られている肉加工品は、食品添加物が異常に多い。
これは、とにかく安く作ろうとして、鶏肉や豚ハツや豚タンなどの安い部位を原料にしているからだろう。
そのため、味を「本物に似せる」ため、山ほど食品添加物が使われている。
安物ハム、安物ソーセージの原材料欄には、10以上の添加物がズラズラと書き込まれている。
逆に、良い材料を使える高級ハムでは、逆に食品添加物は少なめで、次のようになっている。
高級ハムに使われる食品添加物の例
- リン酸塩…結着補強剤など
- 酸化防止剤(ビタミンC)
- 発色剤(亜硝酸ナトリウム)
- 調味料(アミノ酸等)
これを見ると、高級ハムでは亜硝酸塩以外の防腐剤や保存料を使ってない。
一方、肉加工品よりも、はるかにたくさん硝酸塩を含んでいる食品がある。
それがホウレンソウなどの「葉野菜」だ。
野菜栽培には、三大肥料として窒素・リン酸・カリが必要だが、この中に硫安(りゅうあん)や硝酸塩が含まれる。
硫安というのはアンモニウム態窒素(硫酸アンモニウム)で、これが土の中に住む細菌によって水溶性の硝酸態窒素(NOx)になり、植物に吸収される。
そして吸収されなかった硝酸態窒素は、地下へ流れて地下水になる。
窒素肥料は、葉肥え(はごえ)と呼ばれて、葉野菜を育てるのに適した肥料で、それ故、野菜はハムやソーセージよりたくさんの硝酸を含んでいる。
硝酸態窒素が問題になるのは、メトヘモグロビン血症(ブルーベビー症候群)の症状を引き起こす原因物質だからだ。
かつてヨーロッパでは、井戸水や地下水が硝酸態窒素に汚染されて、メトヘモグロビン血症が大問題となった。
またアメリカでも、ホウレンソウを裏ごししたペーストを与えた赤ん坊が「青くなって」、数十人も死亡した事件があった。
そのため、ヨーロッパでは飲み水や野菜に含まれる硝酸態窒素や硝酸イオンの量を厳しく制限している。
硝酸態窒素自体は無毒でも、細菌によってすぐに亜硝酸に変わるし、腸内でも亜硝酸が発生するので、とにかく身体に入れる硝酸の量を減らすべしということらしい。
硝酸塩が多いと、発がん物質のニトロソアミンができる確率も高まるしね。
ではどれくらいの量かというと、ホウレンソウ1kgあたり、500mgから3,000mgくらいの硝酸塩を含んでいる。
ホウレンソウ100グラムだけで、硝酸塩の一日許容摂取量(ADI)を越えてしまうくらい含んでいる場合もある。
特にスーパーなどで売っている、25センチくらいの青々したホウレンソウほど、硝酸イオン濃度は高いようだ。
ホウレンソウは、普通に育てても35-40センチほどの大きさになるのだが、日本のスーパーに並んでいるのは、まだ小さいウチに若どり(早どり)したホウレンソウなのだ。
40センチくらいになると、もうそれ以上大きくならないため、窒素肥料は必要無いし、硝酸濃度も低いので味も良い。
しかし25センチくらいの成長途上にあるホウレンソウは、まだまだ成長するために窒素肥料をたくさん吸い上げている。
そのため、どうしても硝酸イオン濃度が高くて、えぐみはキツくなるし、亜硝酸による食中毒も起こりやすい。
因みに冷凍食品に使うホウレンソウは、35センチ以上に大きく育てたホウレンソウを使い、急速冷凍しているという。