オルトレキシアの人は、ベジタリアンになりやすい?
更新日:2018/07/02
オルトレキシアで身体を壊す人というのは、多くの場合、ベジタリアン(菜食主義者)のようだ。
オルトレキシアというのは「正しい食事」という意味を持つ造語だそうだが、この「正しい」というのが曲者だ。
食べるために動物の命を奪うことを「間違っている」と捉えれば、ベジタリアンの食事が「正しい」ことになるんだろうね、きっと。
このベジタリアンと呼ばれる人々は、肉や魚の加工品はもちろん、動物のアラから作ったゼラチンや肉エキス、鰹節や煮干しなども食べない。
動物由来の食品は徹底的に排除し、食べるのは穀物、豆、野菜、フルーツ、海藻といった植物性食品が中心だ。
卵や魚卵も、命の始まりだから、食べてはいけないと考える人もいる。
乳製品もダメだと考える人もいる。
ヴィーガンと呼ばれる人は、卵や乳製品もダメで、さらには蜂蜜もダメらしい。
栄養学の知識がある人なら、このような食事では、十中八九タンパク質不足になると思うだろう。
しかし彼らの言い分は、タンパク質は穀物と豆を食べれば足りるということらしく、実際そうやって穀物と豆類を中心に食事を組み立てている。
またベジタリアンのニーズに応えるべく、欧米のレストランでは、ベジタリアン用のメニューを用意しているところも多いと聞く。
栄養学の知識があれば、穀物と豆だけで生き延びることも可能だろう。
しかし逆に言えば、栄養学的知識を持たない菜食主義は、必然的に栄養不足に陥る。
そしてそれが長期にわたれば渡るほど、身体の壊れ方は深刻になりかねない。
というのも我々の身体というのは、多種類の栄養素を必要としていて、少なく見積もっても40種類以上の栄養素をバランス良くとらないといけないと考えられているからだ。
たとえばタンパク質と一口に言っても、タンパク質はアミノ酸の集合体だ。
20種類ほどのαアミノ酸が複雑につながったモノがタンパク質で、9種類の必須アミノ酸は、必ずバランス良く摂らねばならない。
具体的には、次のようなモノだが、これらを菜食でバランス良く摂るのは、至難の業だ。
アミノ酸の色々
必須アミノ酸 | 準・必須アミノ酸 | その他のαアミノ酸 |
---|---|---|
人間の身体に絶対必要なタイプのアミノ酸 | 体内で合成できるが、足りなくなりやすいアミノ酸 | 体内で合成できるし、不足しにくいアミノ酸 |
トリプトファン、ロイシン、リジン、バリン、トレオニン(スレオニン)、フェニルアラニン、メチオニン、イソロイシン、ヒスチジン(※) | アルギニン(※)、グルタミン、システイン、チロシン | アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、グリシン、グルタミン酸、セリン、プロリン、タウリン(※) |
※ヒスチジンは成長期に必須 | ※アルギニンは、犬猫や魚では必須アミノ酸 | ※タウリンは厳密にはαアミノ酸ではないが、犬猫や魚などでは必須の栄養素 |
また、カルシウムやマグネシウム、カリウムやナトリウム、亜鉛やクロム、セレンなどと言ったミネラルも、バランス良く摂るのはなかなか難しい。